太極拳は、大変複雑な武術の型であり、それを体操として、中国政府が安全対策を徹底して制定したまでは良かったのですが、最近は伝統太極拳という、現代武術の動きを直接取り入れて動く事が流行っているようで、多くの故障者が増えています。
中国で楊式太極拳の套路が流行ったときに、故障者の続出が社会問題となったこともあり、そもそも、武術の型を全くの初心者が行うには無理があるのです。
だから、中国政府は、あらゆる武術性を排除し体操として制定したのです。そうしないと世界中の人が、簡単に行えることもなく、普及という目的も達成できないのです。
しかし、そうなってしまうと、本来の太極拳の効用も無くなり、単なる体操として普及するしかありませんが、中国政府はそれでこそ良かったのです。
これが、今日流行している一般的な太極拳です。
最初から、複雑な武術の要訣を取り入れた型を行おうとするには無理がありますが、そのような形を覚える事の達成感もあります。その達成感を求めて無理な動きを行うわけですから、多くの人が身体に故障を覚えるのはあたりまえのことです。
この雕架式というのは、治病を布教の要とする中国の古代宗教道教の聖地、武当山において、太極拳を含む多くの導引法(気功のようなもの)を、単なる体操としてまず動きを覚えさせ、その後、その形を武道の動きに徐々に彫り込んでいくものです。
ラジオ体操のような手順で覚えることができるので、いとも簡単に覚えることができますが、この覚えた動きは、高度な動きまで彫り込んでいくことを前提とした、荒削りであるということです。
この荒削りの段階で、安全のための要訣や規則を彫り込んでしまい、形を完成させようとしますと、それを守ることばかりに心を費やし、意識を使って要訣や規則から離れないように神経を使うしかありません。それでも、この段階で高度な動きをするように求めますから、その要訣や規則をつい超えたところで心身に損傷が起こるのです。
いくら、注意していても、意識していても、所詮、太極拳はとても高度な武道の動きなのです。それを忘れてしまうと大きな痛手になります。
小さな子供や、全く初めて太極拳を行う人のために、古くから武当山に伝わる雕架式を二十四式に適用しました。武当山では、すでに誤った太極拳を覚えている人にも、これを行わせリセットさせました。
二十四式は、武当山に古くから有る套路のほんの一部ですから、何の無理もなく行えます。
この雕架式は、純粋な大架式勢法という、とらわれの無いおおらかな勢いで動く、規則や要訣のない太極拳の方式のことです。の二十四式太極拳によってのみ、荒削りから骨の髄まで彫り込んでいけるものです。決して、それ以外の太極拳には採用しないで下さい。
その場合、心身に大きな問題が起こることも考えられますので、この雕架式を覚えたら、必ず、本来の大架式勢法という、とらわれの無いおおらかな勢いで動く、規則や要訣のない太極拳の方式のことです。の二十四式太極拳を行って下さい。