なぜ中国は真の太極拳を葬り去ったのか
真実の太極拳の歴史が、中国史と共に明らかになる
これで太極拳の本当の姿と、武の神髄が分かる
なぜ太極拳のような特異な拳法が生まれたのか
葬られた強力な護身・養生術である太極拳の秘伝
趣旨
中国古代から、中国人の根底にある絶対的な宗教である「道教」と武術の結合は密接で、黄巾の乱を始め,近代では清朝を滅ぼした義和団の乱も,道教を主とする宗教と武術の結合による蜂起でした。
この中で最も危険視されたのが、清の時代に国民的な人気を得た民間の太極拳と道教の結びつきでした。
古代から徳のない政権を倒すという武装蜂起には、いつも道教の理念があり、施政者はそれらを管理し必要に応じて弾圧することが、政権維持の最重要課題でした。
原始からの中国史と、原始道教から道教の玄武大帝である張三丰によって大成された、真の太極拳の歴史とその本質的内容をひもとけば、なぜ、中国はこのように歴史を作り替え、文化大革命により新たな文化を独自に創り上げていったのかが理解できるはずです。
中国のような国が、自分たちの価値観を以て、世界を圧倒して変えていこうとする驚異の原因が、この太極拳の真の歴史と本質的内容に関わる、その中国史によって明らかになるはずです。
特徴
① 古代からの太極拳の本質的内容が、歴史に関わっていることを、時代を追って述べていき、中国人の大切な護身術であった古代の太極拳が、単なる体操に作り替えられるまでの歴史となっています。
② 古代の神話時代から現在までの、中国の歴史を完全に掲載しているので歴史教本ともなります。
③ 太極拳に関する内容は豊富で、護身術や健康増進、神秘的な方術にまで興味を持つことが出来る内容になっており、これで太極拳の本当の姿が分かる実用書の性格もあります。
④ 多くの歴史的な事実に隠れた新事実掲載により、ミステリー小説のような演出効果を狙っています。
目 次(上巻)
古代・自分と大切な者を守る /窮鼠猫を噛む・完全な護身術/フォースとパワーの違い/不思議な能力・フォースを高める/太極拳の始まり/筋力や武器に頼る人々と力の弱い人々/おまじない依存からの脱出/「黄帝内経』に始まる太極拳/陰陽説と太極理論・天地の大徳/歴史と共に伝承されていく太極拳 /■神話伝説時代/天地と共に生きるか、人の力か/天人地が一体となる三才とは/■黄帝の時代(紀元前2600年頃)/黄帝が現れ蚩尤を討伐する/黄帝が記した古代の自然の能力/■夏(紀元前2070年頃~紀元前1600年頃)/三皇五帝の能力を宿った拳法/宇宙の真理・道と共にあった拳法/■殷(紀元前17世紀頃~紀元前1046)/恐るべし太極拳の能力/一族の間で伝承されていく太極拳/自己防衛のために使われた「天下の拳」/■西周(紀元前1046年頃~紀元前771)/拳勇・拳法無くして勇なし/■斉(紀元前1046~紀元前221)/素手の拳法が斉を最強の国に/■東周(紀元前770~紀元前256)/天下の拳が熟成して太極功に/■春秋時代(紀元前771~紀元前403)8/太極拳の拳法理論が纏まる/■戦国時代(紀元前403~紀元前259)/武器を持つ者が世をかき乱す時代/太極拳と呼ばれる拳法の実践を世に示す/フォースを身につける学校を作る/斉という国は拳法を以て強し/■秦(紀元前259~紀元前206)/秦の始皇帝の強力な禁武/太極功によって太極拳を練る/■前漢(紀元前206~8)/神仙は山の人と呼ばれ崇拝される/黄老学が生まれ、民間に拳法が広がる/■後漢(25~220)/鬼神である山の人々が山を下り始める/三才の拳を持つ天下の兵たちが蜂起する/■三国時代から西晋(222~316)/拳勇を国の武術とするか、撲滅するか/太極功を中心とする神仙道が発達する/神仙・個人や少人数で太極功の修行/曹操のもとにいた不思議な仙人/神通力を安易に身につけようとする者/■東晋(317~420)/卓越した武力を持つ初期道教の天師道/■梁(502~557)/太極功を修養する神仙道士が名を表す/■北魏・北斉・北周・隋(386~618)/神仙道の拳法が国武になる/少林寺が武林として有名になる
目 次(中巻)
■唐(618~907)…………………………………133/三才の拳(太極拳)を封じ込める/少林寺が唐の軍のように厚遇される/太極拳の神仙道と宮廷道教が融合/太極功としての金丹の流行/神仙道の仙人への憧れ/仙人羅公遠と、楊貴妃の悲劇/太極功を教える神仙道士/天下の兵が唐の軍となって治安を守る/卓越した道士のみが虎と狐を撃つ/世界的に有名な神仙・呂洞賓/■五代十国時代(907~960)/易姓革命の時代、世に慕われる仙人達/仙人に太極功を習う趙弘殷/■北宋(960~1127)/陳摶から道と拳法を受け継いだ皇帝/太極功が北宋の拳法となる/『太極拳経』の源・陳摶が残した『太極図説』/宋の腐敗と衰退・太極の雷法/■南宋(1127~1279)/多くの中国武術の創始者となる岳飛/■金(1115~1234)/武に特化した新道教・全真道が生まれる/全真教の七真人の一人丘長春/■モンゴル帝国の支配(1234~1270)/太極拳の始祖張三丰生まれる/少林寺がモンゴル帝国の布教拠点に/張三丰が少林寺に入門して精鋭となる/元が南宋と日本を滅ぼす事を宣言/■元(1271~1368)/元の厳しい禁武政策と黄金蓮結社/張三丰が嵩山少林寺で太祖拳に巡り合う/張三丰が道教に帰依して綿拳を錬磨する/張三丰が武当山を出て中国を漫遊する/張三丰が入門者用の太極拳套路を整理/■明(1368~1644)/沸き立つ漢民族に乱立する民間武術/特別な武当山で太極功が盛んになる/武当山の拳法伝承者・王宗の活躍/道士の太極拳が詳しく記録される/少林寺の僧や民間武術家も明軍に徴兵/明の脅威・倭寇とモンゴルと内乱/明の拳法書に書かれた太極拳の理論/紀効新書に記された拳法は武芸の源なり/誰もかなわないと記された張三丰の弟子/日本の海賊倭寇と明軍の戦い/日本と中国の武の交流/明の武将が取り入れた太極拳の勢法/武当道派の内家拳法伝承者・張松溪/明が拳法家を招集して北夷に対抗/
目 次(下巻)
■清(1644~1912)/清の征服に反抗する明の残党/明代から清代の各派の拳法は道教に帰依/清朝・結社と民族蜂起を抑えるのに躍起/清朝になったころの明の残党と陳家溝/王征南墓志銘に書かれた太極拳/太極拳を詳しく書した内家拳法の書/ユングが感銘した・『太乙金華宗旨』/武術を帯びた民衆蜂起が活発に/太極拳法の使い手・王宗岳が活動する/楊家太極拳の始祖・楊露禅生まれる/あらゆる武術を身につける天才/楊露禅が陳家武術を天才的に学ぶ/楊露禅が画策により武当山に出家する/楊露禅が清朝武術指南に・アヘン戦争/楊露禅武術指南に躍起になる/太平天国の乱にアロー戦争で結束/清朝が武当山に兵力を求める/王道人太極拳が清朝で楊家を超える/太極剣法を教える廬山の道人/楊式太極拳が広まる・楊澄甫誕生/西太后が武当山を取り込もうとする/太極拳法の拳士を清朝に送り込む/西太后・武術結社の蜂起を指令する/狂気の武術集団・義和団の乱が起こる/西太后の裏切りと西欧列強の侵略/楊澄甫がいやいや太極拳を始める/■中華民国・北京政府(1912~1928)/武当山の太極拳法と楊家の太極拳を確保/中国武術を管理する北平体育研究社/太極拳の伝承者・楊健侯死去/陳家太極拳という名称が生まれる/武当山の太極拳法一〇八式の復活/■中華民国・南京国民政府(1928~1949)/東洋のパリと蒋介石の南京国民政府/国術を管理する南京中央国術館/武当山への国術参加の要請/日本人が見た十方叢林の様子/太極拳と武当山の歴史を葬り去る/武当山の道総・徐本善が暗殺される/呉鑑泉の上海鑑泉太極拳社が設立/楊澄甫・太極拳は張三丰発祥と言い残す/武当山の太極拳が集結・第二次世界大戦/民間の太極拳はほとんどが皮と毛だけ/武術のプロパガンダ興業試合/■中華人民共和国(1949~)/武術を体育に・新民主主義的国民体育/中国の武術家達の様々な結末/中国武術を完全制定する武術工作会議/全国民族の武術が体育表演として完成/八十八式太極拳・二十四式太極拳を制定/共産党の新しい太極拳史の制定/毛沢東が6年の間に計80万人を処刑/旧思想・文化を壊滅する文化大革命/文化大革命終了・武当山の太極拳消滅/スポーツ化した武術を伝統拳として/伝統武術を武術運動として作り上げる/新しく造られた武当太極拳と武当山/世界に潜む武当山の太極拳法の残党/最後に